ラジオ番組「生放送スペシャル 不登校・さて、どうしよう?」を聞いて(2)

2025年5月6日に放送されたラジオ番組 「生放送スペシャル 不登校・さて、どうしよう?」(放送局:NHK)を見ました。(その2)

 

 

④「子どもの今を尊重する」ことの大切さを伝えていた。

「勉強」よりも「その子にとってのエネルギー源」を優先するという発想の転換が印象的です。

料理や犬の世話など、社会的には小さなことに見えるかもしれませんが、その子にとっての「いま必要なこと」として真摯に受け止めている姿勢は、非常に深い理解と信頼を感じさせます。

そして、「学歴社会ではなくなってきている」という一言も、親の価値観の変化を象徴しており、時代の変化を感じさせる部分です。

また、通信制高校に進んだ後の迷いや試行錯誤が描かれています。

途中で休学したり辞めたりといった経験を否定せず、今はバイトや旅行を楽しみながら進んでいるという語り口から、「止まっても、方向を変えてもいい」というメッセージが自然に伝わってきます。

何かを「続ける」ことではなく、「自分に合うものを探す」ことを大切にしている点が、とても現実的で共感を呼びます。

さらに、休むことの価値が力強く語られています。「休むことも進むこと」という見方は、不安に押しつぶされそうになる保護者にとって、大きな救いになる言葉でしょう。

そして、「今はこれをやると決めた子どもを、親も一緒に認めていくことが大事」という結論に、深い信頼と共同性が表れています。

前向きな「気持ちの切り替え」によって、親子関係に新しい風が吹き込んだ例もありました。

映画、コンサート、旅行といった体験は、一見「勉強」とは無関係ですが、人生を豊かにする重要な要素であり、それを一緒に楽しむ親の姿勢が、子どもの未来をそっと後押ししています。

 

 

最終的に専門学校に通うようになったという事実は、「急がずに進んでも、きちんと未来にたどり着ける」という実例として、大きな励ましになります。

全体として、この文章は「焦らず、その子にとっての“今”を信じる」という親の姿勢が、いかに大切で力強いものであるかを教えてくれます。

その人なりのペースで人生を築いていけるという確信に満ちた内容でした。

 

⑤ 番組の中で、「無理に連れて行くことではなく、“つながりを持ち続ける”ことが大切だ」というメッセージが語られていた。

「子どもが相談に行きたがらないとき、親がまず動く」という行動が非常に示唆的です。

スクールカウンセラーに相談した親が、少しずつ信頼関係を築いていく過程で、やがて子ども自身も「この人なら会えるかも」と思うようになった。

このような「無理をさせない関わり」が、かえって子どもの心を開かせるという展開に、深く共感しました。

また、カウンセラーが“話す”より“遊ぶ”を中心にしていたというのも重要なポイントです。

子どもにとって安心して時間を共有できることが、まずは何より大切なのだということがよく分かります。

さらに、「親も含めた三人での時間」が、家族関係全体の温度を上げたという点も印象的です。

 

医療側からの語りは、非常に実践的で親身な助言に満ちています。

「無理矢理連れてこられたかどうかを確認する」「親だけの相談も歓迎する」といった姿勢は、子どもの主体性を何よりも尊重していることが伝わります。

特に、「今日はあなたのことが心配だから相談に行ってくるね」と親が率直に伝えるだけでも良い、という助言は、保護者にとって大きな安心につながると思います。

「必ず一緒に行かなければいけない」という思い込みを解き、親自身が孤立せずにサポートを受けられることの大切さを、やさしく教えてくれています。

全体を通して、共通しているのは「焦らず、無理せず、信頼を少しずつ築いていくこと」の大切さです。

そして、親だけでもまず一歩動いてみることが、子どもにとっても、家庭にとっても大きな意味を持つということ。

支援は「同行」ではなく「関係をつなぐこと」から始まる――その真実が、静かにしかし力強く伝わってくる内容でした。

 

 

⑥ 番組の中で、親の会に対する最初の不安や懐疑心から始まり、実際に参加してみたことで得られた安心感や情報、そして「仲間がいる」という感覚の大切さが、率直かつ温かい言葉で語られています。

とても等身大で、多くの保護者が共感できる内容だと感じました。

冒頭で「親の会に行こうって、その当時思ってなかった」という本音が述べられており、「どうせ答えなんてない」「自分には合わないかもしれない」という気持ちは、悩んでいる最中の親御さんにはよくある自然な反応だと思います。

それだけに、実際に経験者の話を聞いたことで「安心できた」「情報も得られた」と感じた変化が、とてもリアルで説得力があります。

「ちょっと先に行くお母さんたちが元気になっていく姿を見せてもらえる」という部分は特に印象的です。

それは直接のアドバイス以上に、「自分たちもいずれそこに行けるかもしれない」という希望のイメージを持たせてくれるものです。

具体的な情報(進路・医療)とともに、感情面でも支えられたことが伝わってきます。

また、「オンラインの親の会」や「合わなければ他を探せばいい」という柔軟な視点も、今の時代に合った提案であり、非常に実用的です。

支援の場が“正解か不正解か”ではなく、“合うか合わないか”という視点で語られていることが、読んでいる側の気持ちを楽にしてくれます。

 

⑦ 番組の中で、「母子分離不安」が語られていました。

五歳のときのキャンプ体験――夜中に一人で雨の中を抜け出してしまったというエピソードは、その恐怖や混乱のリアルさが生々しく伝わってきて、読む側の胸にも迫ります。

そして、「一番大切な人と離れているときに、もしものことが起きたら」という不安。

それは決して子どもじみたものではなく、大切な存在への強い愛情と想像力ゆえの恐れであり、それが「母子分離不安」という言葉で整理されることで、ようやく理解される感情だったのだと気づかされます。

また、「少しずつ仕事を通じて慣れていった」「自分で“親離れ”をしていった」という言葉には、決して一足飛びにはできなかった苦労と、その中で育まれた強さが感じられます。

この体験は、今まさに不安を抱えている人にとって大きな希望になるはずです。

支援者の視点から、母子分離不安の子どもをどうサポートしていくかが丁寧に語られています。

特に大切なのは、「安心できる環境を整えること」「少しずつ成功体験を積み重ねること」「その努力をきちんと認めて、言葉でフィードバックすること」です。

「今日一人で遊んでくれたから、ママ仕事ができたよ」といった親の言葉が、どれほど子どもの自信になるか――このような声かけは、支援というよりも“信頼”の形だと感じます。

本人の努力を小さな一歩として積み上げていく支援の大切さが、具体的で現実的な形で描かれています。

全体として、この文章は「不安を否定せず、ゆっくりと認め、受け入れていくこと」の大切さを優しく教えてくれます。

母子分離不安というテーマに対して、決して「克服」や「矯正」といった言葉ではなく、「寄り添い」と「信頼」の力で向き合っていく姿勢に、深い共感と安心を感じました。