マイあさ! 「社員寮復活 コストから人的投資へ」を聞いて

2025年7月23日に放送されたラジオ番組 マイあさ! 「社員寮復活 コストから人的投資へ」(NHK)を聞きました。

この番組は、企業における社員寮復活の動きと、それに込められた「人的資本」への意識の変化を明快に伝える内容でした。

ピークは1993年の205万戸。その後はバブル崩壊・経費削減の流れで減少し、2018年には109万戸まで落ち込みました。

しかし近年、人手不足と採用競争の激化により、社員寮の重要性が再認識され、2023年には130万戸と再び増加傾向に。

単なる住居提供ではなく、「採用力」「定着率」「満足度向上」など多面的な効果が評価され始めています。

防犯性の高さ(多重オートロック)や、共用ラウンジの快適性、ネット環境完備など、単なる住まいを超えた「居住の質」が重視されています。

女性向け社員寮では、睡眠の質を高めるマットレスや心拍・呼吸を測る機能まで備え、健康支援が意識されています。

食事面でも、100円で買える惣菜、専用冷蔵庫、家電の完備など、生活サポートが徹底されている。

単なる「住まい」ではなく、「生活インフラ」としての社員寮が提供されている。

家賃がわずか1万5千円。通勤時間短縮により「時間的余裕」も得られ、生活満足度が上がる分、仕事へのモチベーションも高まるという相乗効果が期待されます。

企業は、福利厚生を単なるコストではなく、人的資本への投資と捉えるようになっている。

特に、建設業など人手不足が深刻な業種では、この動きが顕著で、社員寮整備が「人材確保策の柱」になりつつある。

従業員の生活満足度が、企業の持続可能な成長戦略と結びついている。

日本企業はこれまで「人を育てる」文化があった一方で、90年代以降はコスト削減を優先しすぎた面もありました。

しかしここにきて、再び「人への長期的な投資」が重要視されるようになったのは、企業の価値観の変化を表していると感じます。

また、設備の充実だけでなく、「人として大切にされている」と実感できるような配慮が施された社員寮の存在は、働く人に安心感と誇りを与え、企業との信頼関係を育む基盤になると思います。

通勤の負担軽減や生活支援が「会社への貢献意欲」を生むという流れは、まさに企業と社員の間に新しい信頼の循環を生み出していると感じました。