ふんわり 「もえの知りたい!相続」お金の終活(再構成版)を聞いて
2025年7月14日に放送されたラジオ番組 ふんわり 「もえの知りたい!相続」お金の終活(再構成版)を聞きました。

この番組は、相続の基本から実務的な注意点まで幅広く扱われており、特に実生活に直結する「お金の終活」の重要性を丁寧に解説していました。
- 金融資産の整理と可視化
ネット銀行など通帳のない口座は、家族が存在を知らなければ完全に埋もれてしまう危険がある。
暗証番号は書かないで、口座の存在と引き落としの状況(公共料金など)を伝えておくことが重要である。
「見える化」と「伝達」がカギということです。デジタル時代の相続は、情報の棚卸しが必要不可欠です。 - 口座凍結と葬儀費用の扱い
銀行は死亡を知ると口座を凍結する。葬儀費用は例外的に引き出せるが、他の引き出しはトラブルのもとになる。
「善意の引き出し」がトラブルを招く可能性があるため、ルールの理解が重要です。 - 借金(負の遺産)と相続放棄
相続はプラスもマイナスも含む。マイナスのほうが多い場合は相続放棄ができる。
ただし、相続放棄は相続を知ってから3か月以内が原則。しかも、一度放棄すれば撤回は不可です。
判断力とスピードが問われる場面です。あらかじめ「財産の目録」を作っておくべきだという教訓です。 - 生命保険と期限
契約先を明確にし、失効(3年で失効)を防ぐ。
保険金の請求期限は意外と短い。大事なのに忘れがちな点です。 - 不動産の管理と売却
固定資産税の通知が所在確認の手がかり。固定資産税のかからない不動産もあるので、それらの所在もはっきりさせておくこと。
「相続土地国庫帰属法」は、不要な土地を国に返せるが、条件は厳しく費用も発生します。
「資産」ではなく「負債」となる土地もある現実。相続は「財産」だけではないという意識改革が必要です。 - 遺言書と遺産分割協議
財産を具体的に示しておくと、相続手続きが円滑になる。
遺留分や協議書のやり直しの制限があるため、偏った配分など調べても分からない点は専門家と相談すべき。
遺言書は「思い」ではなく「設計図」としての役割が重要です。曖昧な内容では混乱を生みます。
また、遺言書は、法律で定められた方式に従って作成されないと無効になる場合があります。
特に、自筆証書遺言は、形式不備による無効リスクがあるため、注意が必要です。 - リスク資産と山林などの注意点
値動きの激しい資産は整理したほうが無難です。
山林は土砂崩れや不法投棄など、責任リスクも伴う。
「相続すること=得をする」とは限らない。持つことのリスクにも目を向けるべき。

この番組は、相続を“お金の最期の片づけ”として真剣に考えるきっかけを与えてくれました。特に印象的だったのは、今まで見てきたように「知らなかったでは済まされない制度や期限」が多いという点です。
相続というと、どこか「死後の話」として敬遠されがちですが、実際には生きているうちにこそ準備すべき現実的な課題であり、放っておくと家族に多大な負担を残すことになります。
相続とは「あとを誰にどう託すか」という極めて人間的な営みである一方、制度・期限・書類・税金といった非情なルールの上に成立しています。
だからこそ、冷静に、そして誠実に向き合う必要がある。
この番組は、それを「ふんわり」とした語り口でありながら、芯のあるメッセージとして伝えてくれました。
これからの時代、「終活」は家族への最大の思いやりと言えるでしょう。