マイあさ! フランスからのたより 「フランス流夏休みの過ごし方」(NHK)を聞いて

2025年7月5日に放送されたラジオ番組 マイあさ! フランスからのたより 「フランス流夏休みの過ごし方」(NHK)を聞きました。

この番組では、フランスにおける夏休み(バカンス)の過ごし方が、多面的に紹介されていました。

 フランス人は、年間5週間もの有給休暇が法律で保障されており、7割もの人が実際に自宅を離れて休暇を過ごすというのは、日本と比べても極めて高い数字です

特に7月14日の革命記念日を境に、都市部から人がいなくなる現象は、まさに「国民的な移動」とも言えます。

 国内外での旅行先として、近隣のヨーロッパ諸国からアジアまで幅広く、特に今年はアジアが人気というのは、フランス人の旅先選びが時代のトレンドや経済状況、国際情勢にも左右されていることを示しています。

 本来、フランス人は「仕事とプライベートは完全に分ける」という価値観が強かった国民性です。

しかし、在宅勤務の普及により、若い世代を中心に「働きながら休む」ワーケーションがじわじわと広がっています。

一方で「どちらも中途半端になる」という懸念もあり、これはフランス社会でも「休むことの質」が問われている現状だといえます。

 学校は夏だけでなく、年間を通じて2か月ごとに2週間程度の長期休暇があり、親にとっては休暇対策が常に課題です。

そのため、自治体が余暇活動(サマーキャンプや地域活動)をサポートしている点は、フランスの社会的配慮の表れで、日本でも参考にできる制度設計です。

 3割程度の人はどこにも行かず、地方の親戚宅やキャンプ場で安く休暇を過ごしている現実があります。

所得格差が、休暇の過ごし方にも反映されていることがわかります。

 一方で、「スロー・ツーリズム」など、お金をかけずに豊かな時間を楽しむ工夫も根付き始めており、単なる贅沢旅行だけがバカンスではないという価値観も浸透しています。

フランスのバカンス文化には、「しっかり休む」ことを社会全体が大切にし、長期間の休暇取得が「当然の権利」として根付いているという強い意識が感じられました。

他方で、テレワークやワーケーションによって、従来の「完全休養型バカンス」が揺らぎつつあり、 休むことの本質 が改めて問われています。

また、格差の存在や、休暇に伴う親の負担など、華やかなイメージの裏側にある「現実」も見逃せません。

日本では休みの取得や長期休暇に対してまだまだハードルが高いと感じることが多いですが、フランスのように「仕事から完全に離れる時間」の価値をもっと社会全体で見直してもいいのではないか、と考えさせられました。