マイあさ! マイ!Biz 「アメリカ国債格下げと日本に対する示唆」を聞いて
2025年6月30日に放送された マイあさ! マイ!Biz 「アメリカ国債格下げと日本に対する示唆」(NHK)を聞きました。

アメリカはこれまで「世界で最も信用力の高い国」として、国債も最上級の格付け(AAAなど)を維持してきました。
ところが、今回は大手格付け会社がその評価を「最上級」から「一段階引き下げる」判断をしました。
原因は明確で、 財政赤字と債務残高の急増、そして 財政運営の不透明さ です。
格下げの影響として、国債の価格は下落し(=市場で売られ)、長期金利が上昇しました。
金利上昇は、アメリカ経済全体のコスト(企業の借入金利、住宅ローンなど)に悪影響を及ぼします。
アメリカは、コロナ後の景気対策、インフラ投資法、半導体産業支援、気候変動対策など成長促進策に巨額の財政支出を行ったため、債務残高が膨らみました。
コロナ前はGDP比105%だった債務残高が、現在は 121% に。
さらに、トランプ政権時代の関税政策や政局の不安定さが、先行きの不透明感を強めました。
実は日本はアメリカより 格付けが2段階低い 状態。
さらに、GDPに対する債務残高は 237% と、主要先進国の中でも突出して高いです。
ただし、違いもあります。
日本国債は 9割以上が国内投資家に保有 されているため、海外投資家の不安で市場が動揺するリスクは小さい。
日本の家計金融資産は世界でも高水準です。
そのため、現状では国債の信頼性はある程度維持されています。

アメリカの格下げが日本に示す教訓としては、アメリカほど経済規模が大きくても、借金が増えれば信用力は下がる。
つまり、「成長していれば借金があっても大丈夫」ではない という現実です。
日本も成長のための投資(インフラ、産業支援、社会保障など)は大事ですが、中長期的には 債務の持続可能性 を重視しないと、将来の信用低下を招きかねない。
つまり、 財政赤字と経済成長のバランス管理が必要 ということです。経済成長が続いている間に、財政再建への道筋をしっかり描くことが求められています。
少子高齢化が進み、働く世代が減っていけば、税収の減少、社会保障支出の増加など、財政悪化の要因が確実に待ち構えています。
だからこそ、単なる財政支出拡大ではなく、将来の成長や財政健全化にどうつなげるか、短期的な景気対策と、中長期的な財政再建をどう両立させるか、この視点を持った政策運営が必要です。
「まだ危機ではないからいい」ではなく、 危機になる前に準備しておくことが本質的な教訓だと感じました。