自己肯定的な子育て  ラジオ番組 ふんわり タレント・鈴木あきえさん登場!(NHK)を聞いて

2025年6月9日に放送されたラジオ番組 ふんわり タレント・鈴木あきえさん登場!(NHK)を聞きました。

この番組は、タレント・鈴木あきえさんが、自身の子育て体験を通して得た“心の成長”と“親としての変化”が、非常に誠実かつ実践的な言葉で語られており、多くの子育て中の人々にとって共感と安心を与えるメッセージになっていることが読み取れます。

「ガチガチの子育てをしていた」という冒頭の言葉には、自分を責めすぎる親の典型的な心理が映し出されています。

しかし、番組MCとして多くの子育て家庭と触れ合う中で、「結構できてるじゃん」という自己肯定的な視点に変わったというのは、子育てにおける自己評価の健全化の重要性を物語っています。

「〜すべき」という考え方は、日本の子育て文化に根強く存在する規範です。

これを「べきお化け」とユーモラスに名付けることで、リスナーも「自分の中にもいるな」と自覚しやすくなる。

この言葉のセンスは、感情に寄り添う育児の第一歩です。

「自分の機嫌は自分で取る」という考え方は、育児に限らず、あらゆる対人関係において大切です。

親が自分のケアを怠ると、そのしわ寄せが無意識に子どもに向かうという指摘は、ストレスマネジメントの観点からも理にかなっています。

「いやいやマン」(注1)という擬人化の工夫や、「どっちがいい?」という選択肢を与える手法は、発達心理学でも推奨される「自己決定感を尊重する育児」の好例です。

「80回やりました」という実践のリアリティが、言葉の重みを支えています。

(注1)「いやいやマン、来ちゃった?」「来た。」「いやいやマン今どの辺にいる?」「この辺にいる。」「いやいやマン退治できる?」ヒーロースイッチが入って「俺できる。」 ポーズをとって「退治できたママ。」となる。

「声かけ」よりも「間がけ(まがけ)」という言葉は秀逸です。

すぐに反応するのではなく、一度立ち止まって子どもの気持ちを想像する。

これはまさに、共感の姿勢の表れであり、「親が感情的でない」こと自体が子どもにとって最大の安心です。

「生まれてきてくれて、ありがとう」「おこりすぎたね」という言葉は、単なる美辞麗句ではなく、「親も間違える存在であり、でも愛している」という複雑で深い感情を、子どもに直接伝える勇気と優しさが感じられます。

この番組を通して印象的だったのは、鈴木あきえさんの語り口が“完璧な育児論”ではなく、“揺れ動きながらも人間らしく向き合う親の姿”を素直に表現していた点です。

彼女の言葉には、「がんばる親」に向けた温かなエールが込められており、理論でも説教でもない“経験からにじみ出る知恵”が多く詰まっていました。

特に、「間がけ」「いやいやマン」「べきお化け」など、比喩や言葉遊びを交えながら子育てのリアルを語る姿は、まさに「ふんわり」した中に芯のある、鈴木さんらしいスタンスの表れだと感じました。

このラジオは、孤立しがちな育児の中で、“自分を責めすぎず、子どもとの今を楽しむ”という視点を持つことの大切さを、優しく、しかし力強く伝えてくれたと思います。