ラジオ番組 マイBiz!「トランプ関税 世界経済の対応策」(NHK)を聞いて

2025年5月26日に放送されたラジオ番組 マイBiz!「トランプ関税 世界経済の対応策」(NHK)を聞きました。

 

この番組からは、トランプ政権の関税政策が単なる一時的な外交戦術ではなく、世界経済全体に長期的かつ構造的な影響を与える重大な転換点であることが、非常に明確に伝わってきます。

 

 

 まず、関税率が90年ぶりの高水準に達したという事実により、米国が自由貿易から保護主義へと明確に舵を切ったという分析は、時代の分岐点を的確に捉えた洞察だと感じます。

米国の通商政策が歴史的にも大きな転換点をむかえたことを示しています。

 

 また、関税によって米国自身が物価上昇や景気減速の影響を受けていること、そして企業の経営判断が難しくなる「不確実性」が極端に高まっていることは、単なる国際摩擦を超えて、グローバル経済の根本を揺るがす問題だという指摘も全くその通りです。

特に、2つ目の不確実性は、単に経済的な問題ではなく、企業や国家が中長期戦略を描く上での障害にもなっており、持続的な成長には極めて深刻な課題だと感じざるを得ません。

 

 

 さらに、「世界の多極化」「技術覇権を巡る米中の競争」「資源ナショナリズム」という3つの視点から、保護主義の根底にある力学を解き明かしている点も、非常に説得力を感じました。

単に「トランプ政権の一過性の政策」として切り捨てるのではなく、世界の構造的変化という大きな文脈の中で理解しようとする冷静な分析は評価されるべきだと思います。

 

日本は今、米中の対立や世界の不安定化の中で、相対的に安定した存在として注目を集めているという指摘は、とても希望のある見方です。

特に、日本が長年築いてきた新興国との信頼関係を「資産」として活用し、社会課題を解決するビジネスに発展させていくという視点は、攻めの外交・経済戦略であり、日本の企業が進むべき道を示していると感じました。

 

 

自由貿易体制を支える「秩序の守り手」としての日本の立場に言及している点は、地味ながらも極めて重要な外交的責任を示しています。

日米関係の維持とともに、日本がルールに基づいた国際秩序を維持する旗手であるべきという指摘は、これからの日本がとるべき態度を正確に表現していると思います。

 

この分析は、「脅威」と「機会」を両方しっかり見据えたバランスの取れた視点に貫かれており、混迷する国際社会における日本の立ち位置と可能性を冷静かつ前向きに考察している点に、大きな意義を感じました。

今後の世界を読み解くうえで、多くの示唆を与えてくれる内容だと感じます。