心によりそう絵本「きみのことが だいすき」 いぬい さえこ(作)

心によりそう絵本「きみのことが だいすき」 いぬい さえこ(作)

大好きな人といっしょに読みたい、あたたかい気持ちになる絵本

ここは、かわいい動物たちがすんでいる森。そっと耳をすませば、やさしい声が聞こえてきます。

「かなしい きもちはね、ふたを しなくて いいんだよ。」

「あなたは、よいこ。なにかを じょうずに できなくても。みんなと 同じように できなくても。」

 

そんな、心がつらいときやさびしいときに、そっと寄りそってくれる言葉たちが、この絵本にはたくさんつまっています。心によりそう

やさしい絵とメッセージが、読む人の心をあたためてくれます。

 

 

 

絵本のことばで次の一節を思い出しました。

涙を見せることは弱さじゃない。それは、自分に正直であるという強さだ。
— アンジェリーナ・ジョリー

 

この言葉は、「感情を見せること=弱さ」と考えがちな人にとって、視点を大きく変えてくれる、とても大切なメッセージです。

 

本当の強さとは、自分の気持ちにふたをせず、ちゃんと感じて、認めてあげること。

それはとても勇気のいることです。だからこそ「涙を見せる=自分に正直であること=強さ」なのです。

 

特に大人になると、「誰かに頼ること」や「弱さを見せること」は、避けたくなりがちです。

でも、涙を見せて、「助けて」と言える人は、自分の苦しさを認め、自分も他人も信じる力を持っている人なのです。

 

涙を我慢してばかりいると、気づかないうちに心が疲れてしまいます。

だからこそ、感情を出すことは、「自分を守る知恵」でもあるのです。

強く見せることではなく、「ありのままでいること」が、本物の強さです。

 

 

もう一つあります。


あなたが生きているだけで、すでに価値がある。
— ヴィクトール・フランクル(精神科医・『夜と霧』の著者)

 

能力や成果に関係なく、存在そのものに価値があるという深い言葉です。

特に「役に立たなければ意味がない」「成果を出さなければ存在価値がない」と感じがちな現代社会においては、強く心に響く言葉です。

ヴィクトール・フランクルは、ナチス・ドイツの強制収容所(アウシュヴィッツ)での極限体験をもとに、人間の「生きる意味」について深く探求した精神科医です。

彼が実際に見たのは、「何もできない状況にあっても、人は人としての尊厳を保ち、生きる意味を見出せる」ということでした。

人間の価値は「していること」よりも「存在そのもの」にあるからであり、「ただそこに生きている」こと自体が、尊いことだからです。

「生きる意味」は、成功や快楽の中だけにあるのではなく、苦しみの中でも見出せる。

それは「存在そのものに価値がある」という考えの、もうひとつの姿です。