「アメリカの大卒生の厳しい就職状況について」 ラジオ深夜便(NHK)を聞いて
2025年7月23日に放送された ラジオ深夜便 「アメリカの大卒生の厳しい就職状況について」を聞きました。

2024年10月時点の20歳から29歳の大卒新卒者の失業率は 7.1%、一方で2025年6月の全体の失業率は 4.1%。
若者が明らかに不利な立場にあることを示しています。
特に新卒者は「経験」というハードルの前で、職に就けない。
公的機関の採用停止が、学生たちの希望を打ち砕いています。
希望する進路が閉ざされ、民間企業に流れ込むことで 競争過多 に。
「優秀であっても就職できない」現実が、若者のモチベーションを奪いかねません。
また、貿易政策の不透明さ、税制不安から、企業は採用に慎重です。
さらに、AIによる自動化 により、初級レベルの職(カスタマーサービス、データ入力など)が消失。
初心者が入り込む隙間が減少し、社会全体が「経験者優遇」になるという悪循環になっています。
専門職に固執せず、インターンや実務経験を積んだ学生は、就職の確率が高い。
逆に「こだわりが強すぎる人」は就職が遠のく状況です。
雇用契約は半年〜一年の短期でもそこで経験を積むことが重要です。
キャリアの「点と線」のつなぎ方が求められる時代なので、柔軟さと変化への対応力が鍵になります。
専門学校で特殊技能を身につけた学生の方が就職率が高い。
高等教育の在り方そのものが問われている。
リベラルアーツか、実学かという選択です。

学費は自己負担が多く、就職できないままローン返済に苦しむ。
経済格差と教育格差が連動してしまう構図になっています。
この番組は、アメリカの若者たちが直面している構造的な困難を、単なる統計ではなく、就職活動の現場からの声としてリアルに伝えていました。
印象に残ったのは、優秀で意欲的な学生ですら、進路の希望を叶えられず、「経験」の壁の前で立ち尽くしているという事実です。
AIの台頭や雇用の流動化により、もはや「学歴だけでは足りない」時代です。
にもかかわらず、教育は依然として「学ぶ」ことを中心に据え、「働く」こととの接点が少ない。
これは日本の大学教育にも共通する問題であり、決してアメリカだけの話ではありません。
また、学費ローンの重圧や終身雇用の消失など、「個人の努力だけではどうにもならない環境」が若者の未来を曇らせています。
この構造的な問題に対して、親や大人たちが「次の世代のためにできることは何か」を真剣に考えるべきだ、という番組のメッセージは、静かですが強いものでした。
この放送は、若者の就職難という表面的な話題から、社会全体が直面する「不確実性の時代にどう備えるか」という問いに私たちを導いていました。
日本も例外ではなく、「専門職教育」「経験重視の風潮」「学費負担の重さ」など、多くの示唆を受け取ることができる内容でした。
親として、教育者として、あるいは市民として、何をどう変えていけるのかを考えるきっかけとなる貴重な番組だったと思います。

