《ドイツで人気のスポーツ『ボルダー』の魅力》岡本あきこ(ドイツ) ラジオ番組海外「マイあさだより」(NHK) を聞いて

2025年11月30日に放送されたラジオ番組海外「マイあさだより」《ドイツで人気のスポーツ『ボルダー』の魅力》岡本あきこ(ドイツ)を聞きました。

1.スポーツとしての本質的魅力:シンプルかつ奥深い構造
ボルダーは、高さ4メートル前後の人工壁に配置された「ホールド」を使って、自身の身体だけで課題(ルート)をクリアするシンプルなスポーツです。
ロープや安全ベルトを使わない分、純粋に自分の身体操作と知恵だけが頼りになります。
この「シンプルさ」が、初心者にも敷居が低く、かつ、熟練者にとっては非常に奥深い「課題解決型運動」となっている点は、非常に魅力的です。

2. 文化的背景と地域性:ドイツに根付く自然との親和性
ドイツ南部では、アルプス山脈に近いという地理的条件もあり、昔から登山やクライミング文化が盛んです。
その延長線上に、都市部でも手軽に楽しめる「ボルダー」が根づいたことは、自然と都市文化が融合したアウトドア精神の延長とも言えます。
まさに「地に足のついた文化的スポーツ」として発展してきたことが伝わってきます。

3. 必要装備の少なさ:誰でも始めやすい設計
クライミングシューズとチョーク(滑り止め)のみで参加できるという手軽さは、初期投資を抑えられる点で非常に魅力的です。
このアクセスのしやすさが、老若男女、あらゆる層に人気が広がる理由でもあります。

4. 頭脳と身体をフルに使う「パズル的エクササイズ」
登るという行為は単なる筋力勝負ではなく、どのホールドをどの順で使うかを考える知的な活動でもあります。
そのため、パズルを解くような戦略性があり、頭脳と身体の両方を刺激する複合的スポーツになっています。

5. 柔軟な時間配分:現代的ライフスタイルにマッチ
「1時間だけでもOK」「3時間じっくり取り組むのもOK」という自由度の高さは、忙しい現代人にとって非常にありがたいポイントです。
ジムに行っても強制されることなく、自分のペースで進められる点が、継続しやすさにもつながっていると感じられます。

6. コミュニティの力:社交と交流の場としての機能
ボルダーの場では、知らない人同士でも自然に話しかけたり、応援し合ったり、アドバイスを送り合うことが多く、肩書や年齢、国籍、性別といった枠を超えてつながることができる「水平な関係性」が醸成されているのが印象的です。
終わったあとにビールを飲みながら談笑する様子も、ドイツらしい社交文化の温かさを感じさせます。

7. 感想
この放送を通じて、「ボルダー」は単なるスポーツではなく、現代人の心の健康、社会的つながり、日常における小さな挑戦と達成感を育てる極めて豊かな活動だと実感しました。
デジタル化・孤立化が進む社会の中で、こうした“アナログな”身体感覚を再確認できる場所があるということは、非常に希望に満ちています。

ボルダーの魅力は、「登る」こと以上に、「出会う」「考える」「楽しむ」という多層的な経験にあり、それがドイツでこれほどまでに人気を集める理由なのだと納得できました。
日本でもこうした文化がもっと広まってほしいと、強く感じさせられる内容でした。