「ミラー・ニューロン」 ふんわり いほこの引き出し(NHK) を聞いて

2025年9月26日に放送されたラジオ番組 ふんわり いほこの引き出し(NHK) 「ミラー・ニューロン」を聞きました。

1.ミラーニューロンの本質的理解
番組は、人間が他者の表情や動作を無意識に“写し取る”脳の仕組みとしてミラーニューロンを紹介しています。
赤ちゃんの笑顔の模倣や、大人同士の表情の「伝染」など、身近な例を挙げることで、科学的な説明を専門用語に頼らず直感的に理解させる工夫が見られます。
これは脳科学を生活に引き寄せる効果的なアプローチです。

2. リーダーシップとの接続
写真家が各地で「リーダーを一目で分かった」というエピソードは、文化や外見的特徴ではなく、“周囲に影響を及ぼす雰囲気”がリーダーを際立たせることを示しています。
これをミラーニューロンの働きと結びつけ、「笑顔や表情がその場の神経信号を決める」という視点は、従来の「能力中心のリーダー観」から一歩踏み込み、情動伝染のリーダーシップ論へ展開している点が興味深いです。

3. 感情表現と場の空気
「うれしいから笑うのではなく、笑っていると嬉しくなる」という逆説的表現は、心理学でいう「表情フィードバック仮説」に通じます。
番組はこれをミラーニューロンの仕組みと絡めることで、表情が行動や感情を先導する力を強調しています。
特に「謝るときに“チャンスを得た”と捉えて嬉しい気持ちで謝る」という具体的な提案は、リーダーや一般の人々が実生活に応用できる実践知となっています。

4. 朝のリーダーの表情の比喩
「朝トップリーダーが元気な顔で入ってくるとチームが元気になる」という部分は、組織運営における場の立ち上がりの重要性を示しています。
これは教育現場や教会活動、地域コミュニティなどにも当てはめられる普遍的な洞察であり、“場に入る最初の一歩で空気をつくる”という含意が印象的です。

5. 感想
難しい脳科学の概念を「笑顔」「謝罪」「リーダーの佇まい」といった日常例に置き換えている点は秀逸です。
リスナーは理論を抽象的に知るのではなく、自分の生活や人間関係にすぐ応用できる知恵として受け取ることができます。

一般的にリーダーの資質は「能力・知識・権威」と考えられがちですが、番組は「表情の影響力」という視点から切り込んでいます。
これは現代の多様なリーダー像を捉える新しい視座を与え、“柔らかいリーダーシップ”の価値を示している点で評価できます。

「謝罪を前向きにする」「嬉しげな顔で話す」など具体的な行動提案が含まれており、抽象論に終わらず、聞き手が行動に移せる内容になっています。
教育・職場・家庭、あらゆる場面で役立つ“ヒューマンスキル”として価値があります。