『マイあさ!』 いきもの☆いろいろ「鳥たちのお風呂事情」(NHK) を聞いて
2025年9月13日に放送されたラジオ番組 『マイあさ!』 いきもの☆いろいろ「鳥たちのお風呂事情」を聞きました。

1.鳥類の生理的制約と適応の巧妙さ
この放送は、まず「鳥は汗をかかない」という事実からスタートし、人間と鳥の生理的な違いに注目させます。
そこから、鳥たちがどのようにして体温を下げるのか、その巧妙な方法を段階的に紹介しています。
足からの放熱(①):羽毛のない脚部は、まさに“ラジエーター”のような役割を果たしており、進化的な工夫が凝らされた重要な熱放散部位であることを示しています。
気化熱による冷却(②):口からの呼吸によって体内の水分を気化させ、体温を下げるという点は、犬のパンティングにも似たメカニズムであり、哺乳類と鳥類の共通点を示唆しています。
2. 種によって異なる「入浴」スタイル
とくに興味深いのは、種ごとに異なる“お風呂習慣”の多様性です。
水浴び(③):単なる涼しさを求める行動ではなく、「羽繕い」や「寄生虫対策」など多機能な意味をもつ行動として紹介されています。
砂浴び(④):雀や鶏といった身近な鳥を例に挙げ、より生活に密着した自然観察への関心を促しています。
砂を浴びることで羽の脂分や寄生虫を除去するという“ドライクリーニング”的な工夫も印象的です。
蟻浴び(⑤):ありの分泌する蟻酸を利用して寄生虫や菌を除去するという、驚くべき“セルフメディケーション”行動は、鳥類の高度な知性と生態的な共進化を示す好例です。

3.感想
番組は専門的な生理学や動物行動学の内容を、リスナーに親しみやすく伝えています。
特に「雀の砂浴び」「鳩の口呼吸」など身近な事例を挙げることで、日常の観察を学びに結びつけている点は高く評価できます。
水浴びだけでなく、砂やアリを利用する方法まで紹介しており、「鳥のお風呂」というテーマを広く捉えているのが印象的です。
単なる衛生行動ではなく、体温調節や寄生虫対策といった複数の機能があることを丁寧に説明しています。
特に、「蟻浴び」のエピソードは特に印象的で、人間が薬草や温泉を活用してきた歴史と重ねて考えると、自然界に共通する「セルフケア」の普遍性が見えてきます。
こうした自然観察をきっかけに、私たちも自分の暮らしを見直し、自然とのつながりを大切にする視点を持つことができるでしょう。