マイあさ! マイ!Biz「“休み方改革”のススメ」を聞いて

2025年8月7日に放送された ラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「“休み方改革”のススメ」を聞きました。

〇旅行「行きたい」人は多いが、実際に行く人はコロナ前より少ない(約5割→約3割)。

行けない理由は①物価高・円安、②休暇が取りにくい職場慣行、③猛暑の負荷です。

確かに、物価高・円安により可処分所得の目減りしています。

また、日本は分割取得を許したため、休みが短く、同じ時期に集中し、運賃・宿泊費の高騰、混雑による満足度低下をもたらしているので、「行きたいけど行かない」となる。

猛暑のため、夏の屋外観光の費用(体力・健康リスク・装備・移動時間の制限)が増え、短期の「弾丸旅」ほど割に合わない。

〇ここで、カギになるのは、連続休暇(ILO132号が示す“最低2週間連続”)です。

長期休暇は観光需要の分散と経済の押し上げに効く。

〇政府はILO132号の批准・長期休暇制度整備が必要である。

また、オフピークの公共交通・宿泊の価格インセンティブ、分散取得企業への税制優遇などの混雑緩和の経済設計も有効である。

〇企業(特にホワイトカラー職場)における連続休暇を促す工夫

(A) 未消化有休を債務計上する企業は休暇を取りやすい傾向にある。

未消化有休の債務性を可視化すると、「使ってもらう方が健全」という金銭的動機が経営側に生まれるからである。

(B)「7〜10連休」デフォルト設計:年初に部署ごとの“連続休暇割当カレンダー”を確定し、予定の自動ブロックを会議ツールで連携する。

(C) 交代可能性の平時訓練:業務の標準化・引き継ぎテンプレ・二重化(バックアップ担当)を常設などにより、休みを“止める理由”を減らす。

(D) 可視化KPI(重要業績評価指標):①連続5営業日以上の取得率、②部署内の偏り(中央値で追う)、③休暇後の離職・メンタル指標、④未消化残高の推移。

(E) 公平性の担保:サービス業・学校・医療は“交代制連続休暇”と繁忙期手当の組み合わせで実質的な公平を確保する。

〇個人の休暇をとる工夫

(A) 季節と場所の最適化:猛暑期は高地・森林・水辺へ、観光のピークシーズン(繁忙期)とオフシーズン(閑散期)の“間”に行くとメリットが大きい。

 この時期は快適さと費用対効果のバランスが良いんです。

(B) 滞在型で“密度”を上げる:移動を減らし、滞在先での体験に投資。連続休暇の価値が最大化。

(C) 家計の“旅専用口座”:毎月の自動積立で為替・物価の心理的ハードルを低減。

(D) 早割×分散の合わせ技:ピークを外し、交通・宿の“早決め”で総額を下げる。

〇現実的な障壁

(A) 中小企業の人手不足:同時に複数人を長期で休ませにくい。→交代制・外注の一時活用・繁忙期明示の年計画で緩和。

(B) 家庭のカレンダー制約:学校行事・受験・介護。→「短長ミックス」(3日+7日)や、リモート前後付けで実質の連休を伸ばす。

(C) 生産性との因果関係:休暇=即生産性向上は自明でない。→“休む設計”と“仕事の設計”を同時に変えないと効果は出にくい。

〇まとめ

「長い休みは贅沢ではなく、設計の問題」。ここを社会全体で共有できれば、旅行の満足度も経済の質も一段上がるはずです。

一方で、批准や制度改正を唱えるだけでは動きません。

年初にカレンダーを決め、交代可能性を鍛える、この“運用の地味な革新”を積み上げられるかが勝負です。

猛暑という新常態もあり、「分散×連続×季節シフト」への移行は、休み方改革の実装編として避けて通れないと感じました。