マイあさ!  マイ!Biz「Z世代のSNS最新事情」(NHK) を聞いて

2025年9月4日に放送されたラジオ番組 マイあさ!  マイ!Biz「Z世代のSNS最新事情」を聞きました。

1.「映え」から「世界観」へ
二年前の調査で重視されていた「映え」は、不特定多数に自分をよく見せるための表現でした。
しかし今回の調査では、限られた仲間と共有できる「世界観」や「雰囲気」が大切にされています。これは、承認欲求が「多数からの承認」から「少数の信頼できる人との共感」へと質的に変化していることを示します。
自己演出の負担を減らしつつ、安心感を保ちたい心理が見えてきます。

2. プラットフォームごとの使い分け
Instagram・bdr 主にオフラインで知り合った身近な友人との記録・共有の場。視覚的に洗練された雰囲気を大切にしている。
X(旧Twitter) ネット上で出会った友人との交流や情報収集。企業アカウントをフォローする割合が多く、実用性・情報性が強調される。
TikTok 視聴中心。インフルエンサー文化が根付き、「投稿するより見る」という態度が多数派。炎上リスクや気疲れ回避の傾向がある。
こうした分業的利用は、Z世代のSNS観の柔軟さと戦略性を物語っています。

3. 投稿スタイルの変化
「顔を直接写さない」「鏡越し」「後ろ姿」など、自己露出を最小限にした投稿が流行している。
75%以上が「顔やスタイルをアップするのに抵抗あり」と回答している点は大きな特徴です。
これは「プライバシー意識の高さ」と同時に、「匿名性とアイデンティティ表現のバランス」を模索しているとも言えます。

4. 企業への示唆
若者の関心は「企業が見せたいもの」ではなく、「自分たちの世界観を表現できる環境」へ向いています。
たとえば、イベントや店舗に「鏡越しで映える撮影スポット」を設けるなど、企業が「自己表現の舞台装置」として機能することが求められるのです。
つまり、受け身的な広告ではなく、共創的な体験提供が重要になっています。

5. 感想
「気疲れ回避」「炎上リスク回避」という現代的な不安がSNS利用に直結している点を押さえているのは、メディアとして鋭い分析でした。
安心と承認の両立というテーマは、SNS世代の心性を理解する鍵になるでしょう。
また、この番組から「つながりの軽やかさ」と「承認の再定義」を強く感じました。

Z世代は決して自己表現を諦めたわけではなく、「より安全で心地よい形」に進化させているのです。
表に出る華やかさよりも、信頼できる少数の仲間との共有を大切にする姿勢は、成熟した自己コントロールの一種とも言えるでしょう。
さらに、企業にとっては「どう見せるか」から「どう共感の場を作るか」への発想転換を促すものであり、マーケティングの質を変える契機にもなると感じました。

Z世代は、SNSを「映えから世界観へ」そして自己演出の舞台から、信頼と共感の小さな空間へと変えている。
その変化は社会全体の人間関係の在り方を映す鏡でもある。