マイあさ! マイ!Biz「中国の人型ロボット最新事例」(NHK) を聞いて
2025年9月3日に放送されたラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「中国の人型ロボット最新事例」を聞きました。

1.中国のロボット産業の急成長と展示会の活況
番組では、7月の世界人工知能大会(上海)、8月の世界ロボット大会(北京)の様子を紹介していました。
特に注目すべきは 出展企業数の急増(昨年比1.6倍・800社超)、展示技術数3000点超という規模の大きさです。
このことは、中国がAI・ロボティクス産業において「実験から実装・実用」へ大きく舵を切ったことを示しており、政府・民間一体で産業化を急ぐ様子がうかがえる。
2. 実用化段階に入った人型ロボットの進化
昨年の展示では「試作品」だったロボットが、今年は明確に 「実務遂行レベル」 に進化していました。
商品のピックアップ、運搬、配布するロボットや、ロボットが群機能により協働作業をしていた。
特に印象的なのは、“まるでロボット同士が考えているよう”という表現です。
これはAIが単独で動くだけでなく、チームとして機能するフェーズに入ったことを意味する。
3. 具体的な利用例の多様性
医療・介護、物流、教育、飲食、サービス業など多分野にわたる応用例が紹介された。
服をたたむ、コーヒーを淹れる、飲み物を売る、ピアノを弾くロボット、北京のロボットカフェ、ホテルの配達ロボ、街を巡回する“警察ロボット”など紹介されていた。
この多様性は、「家庭用ロボット」の時代から、「社会インフラとしてのロボット」への移行期に入ったことを示唆している。
4. 人型という“フォーム(形態)”の優位性
人型ロボットが目・口・耳・手足を持っていることで、既存のインフラ(建物・設備)を変えずに導入できるという大きな利点がある。
この点は、ロボットの技術的能力だけでなく、社会実装コストの低減という意味で非常に重要である。

5. 日本の強みと将来性
日本のロボット産業も、依然として「心臓部」の分野では世界トップクラスである。
精密加工、センサー、リアルタイム制御などは他国が模倣できないレベルにある。
番組では、中国の前進を紹介しながらも、日本の“静かなる技術大国”としての底力にも触れており、バランスの取れた視点であった。
6. 感想
この放送は、「AI・ロボットはまだ遠い話」という固定観念を打ち破り、現在進行形の技術革新とその社会実装の現場を的確に伝えている点が特筆に値します。
単なる技術紹介に留まらず、「ロボットが淹れるコーヒー」「ピアノを演奏するロボット」「ホテルで注文を届けるロボ」など、生活の一場面に入り込んだ技術の描写が秀逸である。
視聴者に「すぐそこにある未来」を想起させ、親しみや興味を喚起しています。
中国の急成長に圧倒されるだけでなく、日本の強み(精密技術、部品製造)を冷静に評価し、将来的な競争力の源泉として再確認させてくれる構成は、バランスに優れた編集と言えます。