マイあさ!  マイ!Biz 「欧州に学ぶ一次産業イノベーション」(NHK) を聞いて

2025年9月1日に放送されたラジオ番組 マイあさ!  マイ!Biz 「欧州に学ぶ一次産業イノベーション」(NHK) を聞きました。

1.共通する課題と異なる対応
日本とヨーロッパ諸国は、ともに「高齢化」「人口減少」「担い手不足」などの深刻な課題を抱えています。
特に日本は、食料自給率の低下(1965年の70%超→現在40%前後)という経済安全保障上のリスクも浮き彫りになっています。
一方で欧州は、技術革新・制度改革・教育改革を通じて、「持続可能性」と「国際競争力」を両立させた先進事例を示しています。
つまり、日本と同様の課題を抱えながらも、“対応の質と速度”において欧州は一歩先を行っているといえます。

2. オランダ農業の革新性
面積:九州程度ながら農産物輸出額は世界第2位
高収益作物に特化し、市場志向の農業を展開
政府と一流企業が連携し、大規模温室、精密水管理、気象非依存の安定生産など最先端のアグリテックを活用
教育・IT人材育成を通じて農業を「成長産業」に転換
強固な協同組合と販売体制で流通効率も最適化
→ 日本の農業も、単なる高品質追求ではなく、「高収益×安定供給×柔軟性」の三位一体が不可欠であると気づかされます。

3. ノルウェー漁業の科学的アプローチ
漁獲枠を科学的データで厳格管理
国際協力による持続可能性の確保
伝統と最新技術(養殖)を融合
政府と大企業が連携し、規制の合理化・近代化を推進
→ 日本沿岸部の過疎地再生にも通じる。資源保護と経済振興が対立するものではなく、「テクノロジー」が両者の接点を創出しうることを示しています。

4. ドイツ林業の驚異的スケーラビリティ
森林面積は日本の半分以下でありながら、木材生産量は2倍
林業従事者は120万人以上(自動車産業超え)
樹種の組み合わせによるエコシステムの安定管理
“森林官”が子供たちの憧れになる社会的魅力
→ 日本の林業が抱える「地形的制約」「生産性の低さ」「人手不足」に対し、ドイツの成功は「構造的改革」と「職業イメージの刷新」が大きな鍵であることを示しています。

5. 感想:日本の未来への指針として
この放送を聞いて感じたのは、「一次産業=衰退産業」ではないという明確なメッセージです。
むしろ、科学と制度と人が連携すれば、地域の誇りや雇用を生み出す“希望の産業”になりうる。

今後の日本では、以下の視点が不可欠だと感じました:
技術革新だけでなく、制度の柔軟化と人材育成のセットで進めること
高品質だけでなく、高収益・市場対応力のある産業構造への転換
地域の自然や文化を生かしつつ、若者が魅力を感じる職場づくり

ヨーロッパは日本の“先を走る鏡”のような存在であり、このような優れた実例から学び、地域の未来を形作るヒントにしていくべきだと強く思いました。