ラジオ深夜便 「みんなの子育て 発達脳科学から」を聞いて

2025年8月29日に放送されたラジオ番組 ラジオ深夜便 「みんなの子育て 発達脳科学から」を聞きました。

1.脳の成熟と時間軸
脳は生まれてすぐ完成するのではなく、約18年かけてバランスよく成長していくという指摘は、親にとって非常に大切な知識です。
短期的な成績や行動だけに一喜一憂するのではなく、長期的に子どもの発達を見守る姿勢の必要性を強調しています。

2. 生活習慣の土台作り
「寝る・起きる・食べる」という基本的な生活習慣を、五歳までに自律的に確立することの大切さが繰り返し強調されました。
これは脳や身体のバランスだけでなく、安心感や前頭葉の機能(心の働き)を育てる基礎でもあります。特に「親も一緒に寝る」という実践的な提案は、子どもの情緒的安心を重視した具体的な工夫として印象的です。
たとえば、仕事で遅い時は7時45分に帰宅するが、子どもを8時に寝かせるために、納豆や冷凍しておいた食事で夕食をすませ、顔と体をふいて、風呂には入らないで、8時寝る。
すごいやり方である。

3. 過干渉と過熱競争の弊害
過干渉や受験戦争の過熱が、自律神経の乱れや心理症状を生む可能性があるという点は、現代社会が直面している子育ての大きな課題を浮き彫りにしています。
「不登校」や「発達障害」と診断される子どもが増えている背景には、発達途上の子どもに過度な負担をかけてしまう社会的な環境がある、という鋭い問題提起です。
親として過度な負担をかけないように配慮する必要があります。

4.「発達障害」と「発達途上」の線引き
番組は、診断された8.8%の子どもの中に「まだ発達中で見かけ上そう見える子」がいる可能性を指摘しています。これは医学的ラベルの固定化を慎重に扱う必要性を示し、柔軟な見方を持つ重要性を伝えています。

5. 親の姿勢と家庭の役割
子どもを「お手伝いする存在」ではなく「家庭の役割を担う一員」として扱う視点は、主体性を育む教育観です。学校の成績や外部の基準で評価するのではなく、家庭生活の中で自立や役割を体験させることが、長期的に前頭葉の発達や心の成長につながる、と説かれています。たとえば、「基礎英語を聞きながら朝ごはんを作る」という一連の行動は、前頭葉の統合的な働き(マルチタスク、判断、意欲)を促進します。

6. 感想
この放送を通して感じたのは、「子育ては脳を作る作業」という言葉の重みです。子どもを点数や受験の枠で測るのではなく、生活のリズムや安心できる環境を整えることが、最も長い目で見て大切だというメッセージは、親に深い安心と方向性を与えてくれます。特に「親も一緒に寝る」という実践例は、愛情や安心を前提にした教育の姿勢を象徴していて、子育ての本質を見事に言い表していると感じました。