ラジオ深夜便 ワールドネットワーク 「海外在住者が日本に帰国する理由」を聞いて

2025年8月21日に放送されたラジオ番組 ラジオ深夜便 ワールドネットワーク 「海外在住者が日本に帰国する理由」を聞きました。

このラジオ深夜便の回は、「なぜ海外在住者が日本に帰国するのか」という普遍的なテーマを、多角的に浮き彫りにしていました。
特にウィーンに25年在住のあらいさんの語りからは、個人の感情・家族関係・文化的欲求・社会変化の観察が交錯しており、一つのライフストーリーを通じて多層的な日本像が見えてきます。

家族と人間関係の軸
帰国の第一の理由が「家族や友人に会うため」であるという点は、人間の根源的な欲求を示しています。
年月と共に家族は減り、友人とのつながりも変化していく。
だからこそ、残された時間の中で会う価値が高まる。
この「有限性の意識」が帰国の動機を強めている点は深い共感を呼びます。

文化的体験の継承
子どもに「自分の国」を直接体験させたいという思いは、移民や海外在住者に共通する切実な願いです。
食文化やスーパーの賑わいの描写は、まさに「五感で感じる日本」の豊かさを表しており、単なる観光では得られない生活文化の体験こそが「お金では測れない価値」であると強調されています。

社会の変化に対する複雑な感情
あらいさんが「自分の知っているのは20世紀の日本」と語った部分は印象的です。
これはポジティブにもネガティブにも映り得ます。
郷愁と疎外感、安心と違和感が同居するところに、海外在住者ならではの“二重の視点”がにじんでいます。

二つの「居場所」を持つ感覚
「日本もオーストリアもどちらも自分の家」という言葉は、グローバル化時代の新しいアイデンティティを象徴しています。
一方に決めつけるのではなく、両方を抱え込み、二重の友情・二重の文化圏を生きる柔軟さ。
それは不安定さでもありながら、現代的な豊かさともいえるでしょう。

この番組の魅力は、帰国の理由を単純化せず、「家族」「文化」「社会変化」「自己認識」という多様な軸で描き出した点にあります。
特に、日本に帰国して「スーパーに入るだけで眩暈がするような嬉しさ」という表現は、日常の中に潜む幸福感をリアルに伝え、聴く人に強い共感を与えます。
また「帰国したいと思わない人もいる」という対比を入れたことで、帰国の選択が必ずしも一様でないことを示し、議論をより立体的にしています。