Nらじ 「カルチャー深読み KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」(NHK) を聞いて

2025年8月18日に放送されたラジオ番組 Nらじ 「カルチャー深読み KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」を聞きました。

この番組内容は、エンターテインメントとしてのK-POPを題材にしながらも、グローバル文化のあり方や受容の仕方について非常に示唆的でした。
以下、要点を掘り下げて分析します。

「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」は、ネットフリックスで公開されたオリジナルアニメで過去最高の視聴者数を獲得している。しかも ネットフリックスの映画部門ですでに歴代2位になっている。

作品は「KPOPガールズが悪魔と戦う」という一見奇抜な設定ですが、韓国伝統文化の宗教的要素(ムーダン)と現代のK-POPをつなぎ合わせることで、伝統と現代の文化接続が巧みに描かれています。

この作品の肝は、朝鮮半島に古くから伝わる女性司祭ムーダンの身体技法を、K-POPの舞台文法と水平接続した点にある。
太鼓のビート、円環的な舞、コール&レスポンスといった儀礼のパターンが、アリーナの手拍子、掛け声、フォーメーションの反復と噛み合う。
伝統は背景美術の意匠ではなく、物語の駆動力として働く。
だから“拝借”ではなく“対話”になる。

さらに、ファンを守るという物語命題は、共同体を災厄から護る巫的実践の現代翻訳でもある。
ムーダンの祈祷が観衆の願意を束ねるように、ライブもまた観客のエネルギーを収斂させる。
アクションやミュージカルといった娯楽性に加え、文化的深みが与えられている点が評価できます。
単なるファンタジーではなく、文化的根を持たせたことが国際的な成功につながったと考えられます。

「抹茶ラテ」の比喩が示すように、この作品はローカル文化をグローバルに展開する「グローカリズム」の好例です。
韓国文化を土台にしながらも、ハリウッド的な映像表現・物語構造を取り込み、文化摩擦を生まずに国際的ヒットを生んだ点は非常に肯定的に捉えられます。
特に韓国国内からも歓迎されている点は、文化盗用ではなく文化尊重が実現できている証左といえます。

この映画のヒット要因として、音楽の成功が非常に大きいことが強調されていました。
主役グループだけでなく悪役の楽曲までもがビルボードチャートに複数ランクインした点は、映画音楽が単なる付随要素ではなく、独立したエンタメ市場を切り拓いたことを意味します。
音楽がグローバルカルチャーを媒介する強力な手段であることを改めて示しています。

日本アニメの世界的成功が紹介される一方で、J-POPはまだ本格的な国際展開に乗り切れていない現状が浮き彫りになっています。
夜遊びなど新しい世代が突破口を開き始めていますが、韓国が長年積み上げてきた「戦略的文化輸出」に比べれば、まだ後発段階にあるという指摘は鋭いと思います。

K-POPには日本人やその他の国籍のアーティストが多数参加し、アメリカでも「アメリカ人によるK-POPグループ」が生まれている現状が紹介されました。
ここで強調されているのは、国籍ではなく内容と文化そのものが重要という姿勢です。この点は、グローバル時代における文化交流の核心を突いています。

このラジオ番組の深読みは、単なる「映画がヒットしている」という表層的な事実ではなく、そこに横たわる文化交流・文化尊重・産業戦略という多層的なテーマを掘り下げており、非常に意義深いものです。
とくに「文化盗用ではなく文化尊重として機能した事例」としての評価は、現代の国際カルチャー論において価値ある視点だと思います。

私は、この内容を聞いて「文化は固定的な国境に縛られず、積み重ねによって育まれ、尊重を前提に広がっていくもの」だと改めて感じました。
韓国が10年以上をかけて世界市場に挑戦し、成功した姿は、日本にとっても刺激的であり学ぶべき点が多いと思います。
特に、伝統文化と現代文化を掛け合わせ、さらにグローバル化させる戦略は、日本のアニメや音楽にも応用できるのではないでしょうか。