マイあさ! マイ!Biz「米で始まったAI失業」を聞いて
2025年8月5日に放送されたラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「米で始まったAI失業」を聞きました。

Microsoftの事例のように、売上が好調にもかかわらず解雇を進めるのは、「経営が苦しいから」ではなく「次の成長段階に備えるため」である。
AI時代では「先行的リストラ」が戦略的に行われる傾向が強まっている。
一般社員の削減と対照的に、高額報酬でAIのトップ人材を獲得。
技術力の格差がそのまま企業の競争力格差につながる構造である。
単なるツール導入ではなく、製品開発・サポートの自動化、定型業務の削減などにより企業全体の構造を「AIファースト」に組み替える動きが顕著である。
具体的に影響を受けやすい仕事としては、データ入力、基本的プログラミング、顧客対応、翻訳、コンテンツ作成、中間管理職・調整業務などであり、高給職も含まれている。
プログラマーは給与水準が高いため、AI自動化で削減対象になりやすい。
突然の大量解雇は、社員士気の低下、ブランドイメージの損傷、社会的批判の高まりを生じる。
必要な対応策としては、リスキリング(再訓練)プログラムへの投資、透明性ある計画的削減、AI倫理の確立(差別や誤用を避けるための原則)があげられる。

日本では、終身雇用文化・世間の評価などにより急激なリストラは難しい。
逆にいうと、移行期間を計画的に取る必要がある。
求められる方向性としては、単なるコスト削減ではなく、創造性を伸ばすためのAI利用、人とAIの協業モデル構築、従業員との歩調を合わせた変革が考えられる。
この番組は、単なる「AIに職を奪われる」という危機感にとどまらず、企業の戦略転換と人材構造の変化を一体で描いている点が興味深いです。
特に、好業績でもリストラが進む、高給・高スキル職も例外ではない、AI時代の勝者は「技術エリートとその使い方を知る組織」という三つの現実は、日本にも数年以内に確実に波及すると感じます。
また、日本では「急には解雇しづらい」制度的背景があるため、リスキリングと職務再設計を先行投資できる時間的猶予が必要です。
この時間を活かせるかどうかが、将来の競争力を左右するでしょう。
言い換えると、アメリカは「痛みを先に受け入れて利益を最大化する」モデル、日本は「痛みを先延ばしにする代わりに、その間に変革準備を進めないと一気に遅れる」モデルになりそうです。