ラジオ深夜便 「人と自然をつなぐ」 南アフリカ政府公認サファリガイド の話(NHK) を聞いて
2025年8月3日に放送された ラジオ深夜便 「人と自然をつなぐ」 南アフリカ政府公認サファリガイド の話(NHK) を聞きました。

この番組では、南アフリカ政府公認のサファリガイドの仕事を通して、人と自然との関係性や、野生動物の生態、そして環境問題への理解を深めることができました。
南アフリカのクルーガー国立公園は、四国がすっぽり入るという比喩からもわかるように、圧倒的なスケールの自然空間です。
哺乳類114種、鳥類300種という豊かな生物多様性は、日本ではまず想像できないほどの生命の密度です。
特に乾季という季節性の中での野生動物の行動や、気温差のある厳しい自然環境の描写は、自然が持つ過酷さと美しさの両面を感じさせます。
サファリガイドの役割は、単に動物を見せるだけではありません。
足跡や糞といった「動物が残したサイン」から、その行動や位置を読み解き、訪問者に自然界の物語を伝える語り部としての側面があります。
この「見えないものを読む」能力、つまり、自然の“言語”を解釈する力は、現代社会では忘れられがちな感覚です。
都市生活では得られない、「自然と調和して生きる感覚」を持った人の言葉だからこそ、重みがあると感じました。
「物が壊れたら自分で直す」「服に穴が空くのは当たり前」という言葉に表れるのは、自然環境の中で生き抜くためのサバイバル力です。
そこには、何もかもが整っている都市とは異なる、“あるものを最大限に活かす”知恵が詰まっています。現代人が忘れかけている、不便を受け入れる強さや柔軟性が印象的です。

ライオンの性格が「シャイ」「小心者」というように、動物に対しても“個”としての目線を持っていることに驚きました。
サファリガイドは、単に種として分類するのではなく、一頭一頭と向き合っているということがよく伝わります。
このような関係性が、動物保護や環境教育にも大きな説得力を与えるのではないでしょうか。
サファリのロッジでの「洋風の美味しい食事」や、現地の人々が食べるトウモロコシの粉を使った「パップ」の話からは、観光と現地生活のリアルな接点が浮かび上がります。
異なる文化のなかで「何を食べ、どう暮らしているのか」を知ることで、自然だけでなく人間社会の多様性も感じられました。
このラジオを通して、サファリという一見“非日常”の世界が、実は私たちの日常と深くつながっていることに気づかされました。
自然は、ただ「美しい」「怖い」だけの対象ではなく、人の暮らし、動物の命、環境の未来を含んだ、つながりの連鎖そのものです。
サファリガイドの仕事を通じて、それを丁寧に伝えることは、「自然と人をつなぐ架け橋」として、ますます重要な役割を担っていると感じました。
また、今ある自然を守るために、都市に住む私たちができることを改めて考える機会にもなりました。