マイあさ! 「暮らしを支える雨水活用」を聞いて

2025年7月28日に放送されたラジオ番組 マイあさ! 「暮らしを支える雨水活用」を聞きました。

番組では、雨水が「蒸留水に近い性質」を持つと指摘されており、これは多くの人が抱く「雨水は汚い」という先入観を覆す重要な情報です。

特に30分以上経過した降雨では、大気中の汚れが洗い流された後であり、比較的清浄な水質であることが示されます。

このことから、適切な濾過や管理を行えば、生活用水としての十分な可能性があると理解できます。

雨水タンクは100L~1000Lと規模に応じた選択が可能で、トイレ洗浄・洗濯・植木の水やりなど非飲用用途に適しています。

また、価格も3万円程度から導入可能とされており、個人の住宅でも比較的導入しやすい仕組みになっています。

能登空港では屋根に降った雨水を地下の貯水槽に貯めてトイレの洗浄に使っていた。そのため大地震後もこのトイレはずっと使えた。

この事例は、災害時にも雨水が有用であることを示しており、日常的な用途だけでなく「非常時の備え」としても重要です。

特に災害の多い日本では、このような“平時と有事の両面活用”は注目されるべき点です。

「雨庭」は、雨水を地下にゆっくりと浸透させることで都市型洪水を防ぎ、またヒートアイランド現象の緩和や水質改善にもつながるという、多機能なグリーンインフラです。

単なる“水の利用”を超えて、都市の環境改善と結びつけている点が非常に先進的です。

オーストラリアやドイツのように、建物の設計段階から雨水活用が組み込まれている国々は、日本と比べて制度的・意識的な先進性が際立ちます。

日本でも平成26年に法制度が整備され、全国4300以上の施設で活用が確認されているものの、まだ「任意導入」にとどまっている地域も多く、今後は都市計画との統合が鍵となるでしょう。

導入時のコストや維持管理の手間がネックとなり、個人レベルでの普及にブレーキがかかっているという指摘も重要です。

ただし、墨田区のように補助金制度や積極的な支援を行う自治体もあり、行政の役割が今後の普及に大きく関与していくと考えられます。

雨水活用の取り組みは、地球環境の変化や水資源の逼迫が進む中で、非常に理にかなった行動であると感じました。

特に印象的だったのは、単に「節水」の手段にとどまらず、都市全体のエコシステムを再構築する一歩として考えられている点です。

雨水を貯めるという小さな行為が、ヒートアイランドの緩和、災害時の備え、都市型洪水の防止、水道コストの削減など、複合的な利益を生むことは、多くの人にとって目から鱗ではないでしょうか。

一方で、個人レベルでの初期投資や意識のハードルは依然として高いとも感じました。

だからこそ、行政による補助制度や教育啓発が不可欠ですし、海外のように建築段階からの制度設計が日本でも今後求められてくると思います。