マイあさ! マイ!Biz「伝統野菜で地域経済活性化」を聞いて
2025年7月17日に放送されたラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「伝統野菜で地域経済活性化」を聞きました。

この放送では、伝統野菜を起点とした地域経済の活性化というテーマが、多角的に取り上げられていました。
特に注目すべきは、単なる農産物の販売にとどまらず、「食文化」や「体験」「観光」と組み合わせることで、価値を何倍にも引き上げている点です。
かつては道の駅で地元民向けに売られていた伝統野菜が、現在では「高級食材」、「観光資源」あるいは「物語性のある商品」として再定義されています。
京野菜、加賀野菜、浪速野菜など、地域ごとにブランドが構築され、単なる農産品ではなく、歴史・風土・作り手の哲学を含む「物語」として売られている。
東京の有名シェフが雲仙に移住し、直売所やレストランを開くなど、都会の人材が地方に惹かれて流入する動きが強調されていました。
これは「食材の価値」だけでなく、「生産地としての魅力」や「暮らしの質」にも価値を見出していることを意味します。
料理人が生産者と密に関わりながら、素材の味を最大限に引き出す場を地方につくっている。
「わざわざ辺鄙な場所まで行ってでも食べたい」と思わせる仕掛けが成功していることが印象的です。
宿泊付きオーベルジュ(高級宿+レストラン)で5〜10万円。地方の過疎地にありながら世界中から食通が集まってくる。
これは単なる「食事」ではなく、「物語と体験」を消費しているといえます。

地域が単独で取り組むのではなく、行政が専門家派遣制度などで支援し、外部の人材や資本を巻き込む体制づくりも評価されていました。
一次生産者に光を当てることで、伝統野菜の価値と認知を同時に向上させる。
持続可能なビジネスとして成立するよう、地域全体で支える仕組みが求められている。
この話を聞いて最も印象的だったのは、「伝統野菜が地域を変えるエンジンになる」という逆転の発想です。
かつては地味で忘れられつつあった伝統野菜が、地域の誇りとなり、経済の柱となり、人を引き寄せる磁力となっているのです。
それは単なる農業支援ではなく、「文化」「旅」「味覚」「つながり」といった人間の根源的な欲求を満たす体験の提案でもあります。
「遠くても行きたい」「高くても食べたい」と思わせるためには、味だけでなく、背景にあるストーリーや人の熱意が必要です。
その意味で、地方創生にとって重要なのは「魅力あるものを掘り起こす視点」と「それを語れる人材」なのだと感じました。