ラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「コメの価格の謎」を聞いて

2025年7月4日に放送されたラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz「コメの価格の謎」(NHK)を聞きました。

この番組では、一見単純に見える価格変動の裏に、複雑な消費者心理と社会的背景が影響していることを明らかにしています。

番組では、米価高騰の原因を「供給不足」ではなく「需要増加」と結論づけていました。

通常、価格変動は「需要」と「供給」のバランスで説明されますが、需要が急増して値段が上がる場合は売れる量も増える。

しかし、供給が少なくなって値段が上がる場合には売れる量は減る。

今回の場合、数量データでも需要増加が確認された24年も25年も売れる量が増えており、単なる供給不足では説明できない。

つまり、供給側の問題ではなく、人々の心理的な不安によって需要が突発的に膨らんだことが、今回の米価高騰の主因でした。

消費者心理だけでなく、流通業者が値上げしたのではないかという疑惑にも触れていますが、番組ではそれを「否定はしないが、主因ではない」としていました。

つまり、業者側が便乗して値上げした可能性はゼロではないものの、根本的な原因は需要の急増であると整理しています。

番組では「再発防止策」として以下の提言をしていました。

急場しのぎの対策ではなく、長期視野の政策が必要であり、生産体制・輸入体制の整備して、国産米だけでなく、輸入米も含めた安定供給体制をつくる。

そうして消費者の「将来への不安」を減らす。

政府が「安定供給の見通し」を明確に示す。

これは、単なる農業政策や貿易政策だけではなく、社会心理や情報発信の分野にまで踏み込んだ対応が必要ということです。

私が特に印象的だったのは、「価格変動の背景にある人間の心理」が丁寧に説明されていたことです。

コメのような生活必需品では、「もしなくなったら困る」という 不安心理 が、価格以上に購買行動を左右します。

これは、単なる経済理論では割り切れない部分で、人間らしい行動だとも言えます。

また、こうした事態を防ぐには、「安心できる社会環境」を作ることが重要だという指摘も、非常に本質的だと思いました。

例えば、政府が「備蓄は十分にある」「供給は安定している」と適切に情報発信することで、パニック買いを防げる可能性があります。

これは、米だけでなく、マスクやトイレットペーパーなど、他の生活物資でも同じことが言えるでしょう。

最後に、「農業政策」と「消費者心理対策」を両輪として考える必要性を感じました。

単なる「供給増」だけでなく、消費者の「安心感」をどう作るか。そこにこそ、これからの食料政策の課題があるのではないでしょうか。