マイあさ! Biz「未来につなぐ『地域林業』への期待」を聞いて

2025年7月1日に放送されたラジオ番組 マイあさ! Biz「未来につなぐ『地域林業』への期待」を聞きました。

この番組では、日本の林業が直面している厳しい現実と、それに対する地域独自の再生の取り組みが紹介されていました。

杉の丸太価格が1980年の半額以下、利益ベースでは1/5以下になっており、林業が経済的に成り立たなくなっている。

経済効率やグローバル市場の中で、山の恵みを利用しながら自然と共生する昔の営みが切り捨てられてきました。

その結果、森林が手入れされずに荒廃し、山崩れや生態系の劣化といった二次的な問題も引き起こしている。

過疎化や高齢化により、かつて森林と深い関わりを持っていた住民が減少し、森林が地域社会の日常生活から遠い存在になってしまっています。

そこで、ある地域では、自分たちで間伐(木を間引いて森を健康に保つ作業)を行い、その成果を地域内で循環させる仕組みを作った。

間伐材の買取代金を地域限定の独自通貨で支払い、この通貨を地域の商店で利用できるようにすることで、森の整備と地域経済を一体化し、さらに、その通貨は地域のデジタル通貨とも交換可能にし、経済の流動性を高めている。

さらに間伐材を紙製品や文具など付加価値の高い製品に加工し、補助金に頼らず間伐材の買取価格を向上させた地域もある。

また別の地域では、地域の木材を燃料として、熱や電気を地域内で供給する取り組みも進行している。

小規模でも「地産地消」のエネルギーサイクルができている点は、他地域でも注目されるべきモデルです。

この事例は、単なる林業再生の話ではなく、森と人との距離感をいかに近づけるか という課題に対する挑戦だと感じました。

今回紹介された地域の取り組みは、失われた「生活と森のつながり」を、現代の技術(デジタル通貨やエネルギー供給システム)と組み合わせることで、新しい形で取り戻そうとしているのです。

また、単なるボランティア活動ではなく、しっかりと「経済的利益」を生み出している点が重要です。

これにより、活動が一部の熱意ある人に依存せず、地域ぐるみの持続可能な仕組みとして根づいていく可能性が感じられました。

日本各地で同様の問題を抱える地域が多い今、このモデルが他地域にも広がっていけば、日本の森林は再び地域社会にとって大切な資源として生かされるのではないでしょうか。