ラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz 「若手育成の難しさ」を聞いて
2025年6月24日に放送されたラジオ番組 マイあさ! マイ!Biz 「若手育成の難しさ」を聞きました。

この番組では、世代間ギャップに関する既存のステレオタイプに対して疑問を投げかけ、「Z世代」や「若者像」といった一括りの見方が、いかに現実を単純化しすぎているかを示しています。
冒頭から「Z世代は存在しない」と断言する点が印象的です。
これは、「Z世代=こういう人たち」といった固定観念を否定する言葉であり、実際には同世代の中でも価値観が大きく分かれていることを示しています。
「給料より安定」か「安定より給料」か、「地元志向」か「都市志向」か、のような選択肢がことごとく“ほぼ半々”だったという調査結果が、この多様性を裏付けています。
要するに、今の若者は“傾向”として捉えること自体が難しいというメッセージです。
「最近の若者は……」という決まり文句――残業しない、飲み会に来ない、指示待ち、など――が、実は半世紀以上前から繰り返されているという指摘は、非常に示唆的です。
若者が変わったのではなく、日本社会全体が「プライベート重視」へと価値観をシフトしているという捉え直しは、非常に重要です。
実際、番組中では「消齢化(しょうれいか)」という言葉を使って、世代間の価値観の差が縮まっている現象を説明しています。
番組では複数の項目――キャリア志向、仕事と家庭の優先度、食の好み――に関する長期的なデータ比較が紹介されます。
たとえば、「チャーハンが好きか」のような一見くだらなく思える項目でも、20代と50代の好みにほぼ差がなくなっていることが強調されています。
このようなデータは、「世代による価値観の違い」を根拠なく強調する風潮へのアンチテーゼとして機能します。
世代間の価値観は近づいているにもかかわらず、実際には会話がしづらい。
この矛盾の理由として挙げられるのが、ハラスメントへの過剰な警戒心と、メディアによる「Z世代は〇〇だ」といった刷り込み、お互いに「自分とは違う」と思い込んでしまう心理など、実際の“違い”よりも、“違いがあるという思い込み”が関係性を妨げているというわけです。

この番組は、「若者がわからない」「育成が難しい」という現場の悩みに対して、根本的な誤解を解きほぐす内容でした。
とくに、「Z世代だから」という便利な言い訳や分類に頼るのではなく、「個」を見る姿勢の大切さを強調していた点に深く共感します。
また、印象的だったのは「チャーハン」や「ラーメン」の例のように、一見どうでもよさそうな項目が、実は世代の共通点を示す手がかりになっている点です。
こうした軽い話題からでも、「相手との距離を縮められる」という実践的なヒントが込められていました。
この放送は、若手育成に関する本質的な問いかけを与えてくれました。
重要なのは「世代」として扱うのではなく、ひとりの人間として相手を見る姿勢。
そのためには、日々の何気ない会話の積み重ねが不可欠です。
「Z世代はこうだ」と決めつけるのではなく、「あの人は何を大切にしているのか?」という問いを持ち続けること。
それこそが、真の育成や信頼関係の第一歩なのだと感じました。