ラジオ深夜便「こころに花を咲かせて」を聞いて
2025年1月29日.に放送されたラジオ番組「こころに花を咲かせて」(放送局:NHK)を聞いて、1700年代の後半は庶民の園芸というものが非常に台頭してくる時代だと分かった。
江戸時代後期の庶民文化の豊かさと創意工夫の精神に驚かされ、深く感銘を受けます。
まず、庶民が園芸を楽しめるようになった背景として、登り窯による植木鉢の大量生産、識字率の高さ、平和な社会、豊かな植生という4つの要素が丁寧に説明されており、単に「花を育てた」という事実だけでなく、それを支えた社会的・技術的基盤の存在がよく分かりました。
特に注目すべきは、園芸という一見趣味的な営みが、大量生産技術(登り窯)と教育水準(識字率)と結びついていた点です。
これは現代の「産業と文化の連携」などにも通じる構造的洞察であり、歴史を通して文化がどのように育まれるかを示しています。
特に、菜種油の普及で夜に本を読めるようになったことが、学びの機会を広げたという点は、日本の教育水準の高さの原点を感じさせます。
照明技術と教育の関係性が含まれており、見逃されがちな庶民の「学ぶ環境」がどのように整えられていったかを物語っています。
菜種油の登場により、夜の時間を活用できるようになったことは、労働と学びの両立、そして知的活動の広がりを可能にしました。
現代でいえば、インターネットやスマートフォンの普及と学習機会の関係に相当するとも言えるでしょう。
また、「染井がガーデンセンターのような存在だった」「源氏物語の54帖にちなんだ品種の命名と地図の配布」という記述には、日本的な美意識と遊び心が表れていてとても面白いです。
園芸という活動が単なる趣味にとどまらず、文学・地理・商業・遊び心が交差する総合文化であったことが読み取れます。
源氏物語の品種命名は、単なるネーミング以上に、日本人の物語を愛でる感性、美意識、風流の精神を反映しています。
また地図の配布という点では、当時の情報伝達手段とマーケティングの工夫も見えてきます。
これは単なる植物販売を超えて、文学や文化と融合した知的エンターテインメントとも言えるでしょう。
そして最後のしじみとサクラソウを使った「釣り遊び」は、自然との繊細なふれあい方と、手の込んだ遊びの工夫が素晴らしく、江戸の人々の感性の豊かさを感じます。
自然物を素材にした即興的な遊びの存在であり、ここには「自然を搾取する」のではなく、「自然と戯れ、共鳴する」という感性が感じられます。
こうした遊び方は、現代の感覚からすれば、エコロジーやサステナビリティの価値観とも重なる点が多く、「環境と文化の調和」という視点から再評価する価値があります。
全体を通して、江戸時代の庶民の暮らしがいかに文化的で創造的であったかを教えてくれる興味深い内容でした。
江戸時代の文化が単なる過去の遺産ではなく、現代にも応用可能な生活知・文化資源であることを示唆しています。
都市化とデジタル化が進む現代において、「身近な自然を楽しむ」「生活の中に創意を見出す」という姿勢は、私たちが忘れかけている文化的感性の再発見とも言えるでしょう。